※高校生パロディ。
ルフィ、ゾロ、ウソップ、サンジが同級生。
残りは、何人かの名前くらいしか出てきません。
いざ行かん、肉の国
「ほうぱ!」
という異様なルフィの声が、自分たち以外誰もいない食堂に響く。
午後の授業のない土曜の昼。
そのあとの予定も特にない彼等は、いつものように四人集まって、何をするでもなく雑談に花を咲かせていた。
その中で、突如思い出したようにルフィが上げた声が、冒頭のそれである。
「汚ねェな、喰ってる最中は口を開けんじゃねェ!」
嫌そうな顔をして、正面に座っていたサンジがルフィの椅子を思い切り蹴る。
その反動に耐えながら、ルフィは懲りずに口を開く。
「あっぺ、ほぼいらふぃたんばおー」
「何言ってんのか全然わかんねェし。ほらー、散らかすんじゃねェよ」
さらに口からモノを飛ばしまくるルフィをなだめるのは、隣に座っているウソップ。
言いながらポケットティッシュを取り出し、飛び散ったものを拭いてやる。
斜め前のゾロは、そんな騒がしさに目もくれず、一人、巨大なおにぎりに齧りついていた。
そして、ルフィが口の中の物を飲み込んだことを確認して、一言。
「…で、何を思い出したって?」
「「何で分かるんだよ、あの台詞で!!」」
サンジとウソップのハモリツッコミを遮るように、ルフィが机にバンと手をつく。
「そーうなんだよ!まずは見てくれよ!」
ルフィは嬉々として自分の鞄を漁りだした。
筆箱、メモ帳、消しゴム、紙片、シャーペン、シャーペンの芯、シャーペンのお尻についているはずの消しゴム…。
一見モノが余り入っていないように見えて、ごちゃごちゃと色々な細かいものが出てくる。
ゾロが無言で、机の上に置いてあった4人分の皿やコップを端に寄せた。
「…お前な、そーいうものは筆箱にちゃんとしまっておけよ」
まめなウソップが横から手を伸ばし、シャーペンを組み立てて筆箱の中にしまってやった。
しかしゾロの開けたスペースに、これじゃないあれじゃないと積み上がっていくのはガラクタばかりで。
「…あった!これだ!」
そしてやっとルフィが取り出したのは、一冊の雑誌だった。
フリーペーパーらしいその表紙には、『モテ男の夏ファッション』というロゴが踊っている。
「…なんだよ、お前ファッションに興味なんてあったのか?」
注意しなければろくにシャツすら替えないルフィに、ウソップが呆れた半目を向ける。
「違っげェよ!こっち、このページだ!」
ぱらぱらとめくり、とある特集記事…の下にあるイベントカレンダーを指差す。
日にち単位で、誰々の誕生日だとか、何記念日だとか、小さな説明付きで書いてあった。
そしてルフィは、その中の一つ、本日の日付を指差しているのだ。
「なになに、…『肉のテーマパーク開園』?」
「そうっ!肉のテーマパーク!!」
サンジが読み上げる声に、ルフィの嬉しそうな声が重なる。
「今日オープンするんだってよー!いーなー、美味いモンがいっぱいあるんだろーなー」
何かを想像したらしいルフィが、幸せそうににへらと笑う。
「何だって?」
サンジが横から奪い取ったフリーペーパーを、ゾロとウソップも横から覗いた。
「今読む。えー…『○○町に世界初の肉のテーマパークがオープンする。肉料理を取り扱ったレストランが50店舗…』」
「レストランー?何だ、タダで食えるわけじゃねェのか」
「んなわけねェだろッ!…でもマジ美味そうだなこの写真」
「場所どこだって?」
「○○町。こっから電車で30分ってとこかな?路線調べてみようか」
ゾロとウソップがそれぞれの感想なんかを漏らす中、サンジは何か思い出すように考え込む。
「なーなー、行こうぜ肉のテーマパーク!」
「だけどよ、こういうとこって飯高ェだろ、お前金あんのか?」
「ない!」
「なくて、行って何する気だよ!」
爽やかに言い切ったルフィに、びしっと鮮やかに、ウソップの裏手ツッコミが決まった。
ルフィはむっとした様子で言い返す。
「何って、おれは肉を食うんだよ」
「金ねェのに食えるかよ!」
「食えねェのか?」
「当たり前だろ!」
「…じゃあ、エースに金借りるからいい」
「何でも兄貴に頼ってんじゃねェ!いいか、おれやサンジみたいに汗水たらしてバイトしてだな…」
「じゃあナミに借りる」
「「「それはやめろ!!」」」
それまで会話に加わっていなかった二人も、そのときだけは声をそろえた。
万年金欠病で借りた金を返す当てのないルフィに代わって、いつも利子を支払うのは他でもない、この三人なのだ。
ハァ、とため息をついたのはゾロ。
「わかった、おれが一緒に行く」
「本当か、ゾロ!?」
「ただし、奢ってやるのは一品だけだ。わかったな?」
「おう!ゾロは優しいな!大好きだ!」
大好きの安売りをするルフィに、ゾロは一つフン、と鼻を鳴らした。仏頂面に見えて、照れているらしい。
しかし、携帯で詳細を検索していたウソップが一言。
「この写真のステーキ、一品8000円とか書いてあるけど大丈夫か?」
「ルフィ、悪ィがなかったことに」
「えー!?ずりィぞゾロ!!」
「おれだって金ねェんだよ!バイト首になったんだからな!」
ちなみに、ゾロが先週までしていたのはコンビニのレジ打ちだ。
接客する顔が怖くてお客が減ったと店長に言われ、クビになったのであった。
かなり必死なゾロの様子に、ルフィがしょぼんとうなだれて、小さくわかった、と呟いた。
「ごめんなゾロ、おれ、無理言って…」
「…いや、一食くらい奢れねェおれが不甲斐ねェだけさ」
どんよりとした空気が流れる。
居たたまれなくなったウソップが、何か話題を提供しようと口を開きかけたそのとき。
「…待った、ルフィ、諦めるのは早ェぜ?」
「サンジ?」
口を開いたのは、ずっと黙っていたサンジ。
顔を上げたルフィと目が合うと、にやりと笑ってズボンのポケットを漁った。
そして、ぺらぺらの紙を二枚、テーブルの上に広げてみせる。
「『ご招待、肉のテーマパーク…」
「…10000円分食べ放題券』ー!!??」
ウソップとルフィの割台詞。
言い終わるか終わらないかのところで、ルフィの顔が見る見る明るくなる。
「…てめェ、何でこんなもん持ってやがんだよ」
しかしそれに反比例して、人相が悪くなるのはゾロ。
サンジはその剣呑な雰囲気をさらりと流し、にやりと笑って見せた。
「ジジィが、協賛しててね」
「おー!!」
「おー!!」
サンジの祖父とは、有名なレストランのオーナーなのだ。
その世界では名の知られた人物であり、こういったところで名前が出てくることも少なくない。
「サンジ!お前すっげェな!」
「おー、でもいいのかこれ、おれらが貰っちゃっても?」
「ああ。だが問題は、二枚しかねェんだよ」
「一枚貰いッ!…痛ェ!」
素早く手を伸ばしたルフィの頭を、サンジがわしづかみにする。
「二枚しかねェって言ってんだろ」
「だから、おれが一枚貰うんじゃねェか!」
「何でだよ!」
「お、落ち着け、二人とも落ち着けって」
ウソップの仲裁に、サンジがやっと手を離した。おー痛ェとぶつぶつ言いながら、ルフィが手を引っ込める。
「じゃ、じゃんけん。なっ?」
残り三人が頷いたのを確認し、ウソップも手を引く。
ルフィは腕をねじりあわせて勝利祈願、ゾロは目を閉じて精神統一。サンジは不適に微笑む。
「じゃあ行くぞー。じゃーんけーん…ポンッ!」
「…」
「…」
「…」
「…なんでおれが勝っちゃうんだよぉおお!!」
ウソップが頭を抱えて椅子に崩れ落ちた。
感情のないルフィの視線が非常に痛い。ゾロとサンジの視線もそれなりに痛い。
「おれが何したって言うんだよー…」
「…まァ、勝ちは勝ちだ。二回戦を始めるかね」
勝ったのに沈んだウソップの代わりに、サンジが指揮を取る。
「せーの、じゃーんけーん…ポンッ!」
「うわあああああ!!!」
悲痛な悲鳴をあげたのはルフィだった。
その手はしっかりと握り締めたグー。
そして、残りの二人がパー。
「…」
「…」
ゾロとサンジが、見詰め合う。
「「…ルフィ」」
そして、口を開いたのもルフィを見返ったのも同時。
「…真似すんじゃねェよ」
「テメェこそだろ」
「なんだよぅ…?」
二人の剣呑な視線にも気付かず、しょんぼりとした様子でルフィが答える。
そんなルフィに、ゾロとサンジが同時に笑いかけた。
「「おれが、チケット譲ってやるよ」」
「ほんとかァ!?………どっちが?」
輝いた後、ルフィが首をかしげる。ゾロとサンジは互いに自分を指差し、必死にアピール。
「おれに決まってんだろ、ルフィ」
「いや、おれに決まってんだろうが」
「おれとルフィは昔なじみなんだ。おれが譲るのが普通だろ」
「昔なじみだからなんだってんだ。このチケットは元々おれのだぞ」
「やるか?」
「受けて立つぜ?」
「おー、ケンカかー!?」
事情が飲み込めていないルフィは、もっとやれやれとはやし立てる。
バチバチと火花を散らしながら相手の出方を伺うゾロとサンジ。
「…お前ら、絶対ここが学食だって忘れてるだろ」
肘を突きながらそんな二人を見ていたウソップが、手持ち無沙汰にその剣呑な横顔たちを写メに収めた。
そしておもむろにルフィのほうを向き、手に持っていたものを差し出す。
「んじゃルフィ、とりあえずこれやるから」
「えー!?いいのかウソップ!?」
「おう。どうせおれ、10000円分も肉なんて食えねェからなー」
「やったー!ウソップ大好きだ!」
「おれもルフィのこと大好きだぞー」
その台詞と、ウソップに飛びついたルフィを視界の端に収め、ゾロがはっとする。
「あーっ!ウソップてめェ!抜け駆けかよ!」
「抜け駆けって…何だそりゃ」
「仕方ねェな…じゃあ残りの一枚はおれが貰うか」
「何でだよアホ眉毛!」
「アホ眉毛とは失敬な!元々おれのだからいいんだよっ」
テーブルの上に置いていたもう一枚を、サンジがぱっと取った。
「よーし、じゃあ、行くぞ肉の国!」
さっきまでしょんぼりしていた影はどこへやら、嬉々としてルフィが立ち上がる。
「いや、いつの間にそんな壮大なことになってんだよっ!?」
一人で言っておー!と万歳したルフィの頭に、ウソップの裏手ツッコミ。
「いいじゃねェか、肉の国。ジジィの系列の店も店舗出してるはずだしな」
「ちっ…オイコラ駄目眉毛。5000円分でいいからおれにも食わせろ」
続いてサンジとゾロも立ち上がる。
「んじゃ、行くぞー!!」
ルフィの号令に、三人がおう!と左手を振り上げた。
「こりゃ!学食では静かにせんとね!!」
「「「ごめんなさい食堂のおばちゃん」」」
「いざ行かん肉の国ー!!」
「「「てめェも謝れよッ!!」」」
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何故かみんなルフィに優しい。
ただしあれです、ペット的感覚。
「肉のテーマパーク」ができるそうなので
こりゃルフィに行かせてあげてェと思ったわけです。
※SS中の「肉のテーマパーク」と本物は一切関係がありません。
ので、何故か現代パラレル高校生編。
下記「戻る」下に微妙な裏設定。
別に他の話を書く気はないが、せっかく考えたので置いておく。
貧乏性。
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設定は以下な感じ。
年齢血縁関係その他はパラレルなので関係なし!
・ルフィ
ほぼ全科目赤点ギリギリ、体育科目のみ5、の典型的な体育会系。
高2。美術部。
小学生低学年時に親友だったゾロと、高校でまさかの再会。
社会人の兄の家に居候中。
バイト経験無、生活能力皆無。
かわいいという女子人気、頼られたいと言う男子人気、どちらもある。
・ゾロ
同じく体育会系だがルフィよりは上。勉強すればできるのに、やらない。
高2。帰宅部。
異動の多い両親に連れられて、小学校時は良く転校を繰り返していた。
現在は剣道師範のつてで借りているアパートに一人暮らし。
何故かすぐにバイトを辞めさせられるため、万年金欠病。
怖いと敬遠されがちだが、一部男女に熱狂的なファン。
・ウソップ
筆記科目は中の上、実技科目は高、体育は低。
高2。美術部。
サンジとは小学校からの幼馴染。
病気で母を亡くし、父は長期出張中のため、自宅で一人暮らし。
バイトまみれの日々。
男子グループの中心的存在。盛り上げ役のため、女子友人も多い。
・サンジ
平均成績4.7。国語と理科が得意。
高2。サッカー部(弱小、ほぼ活動無)。
ヨーロッパ系のハーフ(日本育ち)でイケメン。非常にモテる。
両親と離れ、祖父の家に住み込みでレストランを手伝っている。
高校を出たら留学予定。
女子人気がエラいことになっている。他学校にもファンクラブがあるとか。