いつからだろう。
こんなことを考え始めるようになったのは。
綺麗なわけでも美しいボディラインをしているわけでもない。
むしろ男だ。
なのに何故か、いつの間にかその姿を視線で追っていた。
旨いメシを食べては今日もうめェなと笑う。
皿洗い手伝おうかと片手を上げる。
島に入ってはいけない病だと情けない顔をしてみせる。
その姿を、好きだ、と思うようになったのは。
ファーストキス
「その…さ。気になる奴とかいたりしないのか?」
「気になる奴ぅ?」
唐突なサンジの問いに、鸚鵡返しにウソップは言い首をかしげる。
並んで皿洗いをしている、というその機会。
両手を泡だらけにしながらしていたのはたわいもない話。今日の昼飯の話から、この前同じ料理が出た日のことまで戻り。
その日の前日にとある島に上陸した話と、そのときサンジがナンパに失敗した女性の話。
そしてそこから、互いの好みの話になり。
サンジが細身で胸はなくてもいいというのを意外そうに聞いていたウソップに、サンジは冒頭のように問うたのだ。
「そうだなー…おれは」
海の方に目をやり、ウソップは小さく微笑んだ。
「…フランキーかな」
「フランキー」
サンジは先ほどのウソップと同じように鸚鵡返しにした。
ウソップは少々マゾなんじゃないかと、ちょっとだけ思った。
何せサンジは、あの海賊誘拐事件の被害者がぼろぼろにされて倒れているところを見ているのだ。
「…フランキーか」
だが、そうじゃないかな、とも少し思っていた。
あの海列車でサンジとウソップが再会したとき。おれの…いやいや、「ウチの長ッ鼻」を偉い目に合わせてくれたフランキーをボコろうとした足は、しかし偉い目に合わされた当人によって止められたのだから。
「どこがいいんだ、フランキーの」
「体」
すねた口調で聞いてみれば、予想外すぎる答えにぎょっとする。
そんなサンジを楽しそうに眺め、ウソップは言葉を続けた。
「すげェんだぞ、フランキーのアレ。見たことあるか?」
「あってたまるか」
顔を背けたサンジに、ウソップはくすりと笑ってみせる。
「すげェぞーアレはマジで。ドリルってカンジ」
「あー、人造人間だからなァ」
「そうそう。人造人間だから」
少々空虚なサンジの返事にも、ウソップは律儀に頷いてみせる。
「だからさ、いつかおれも、改造手伝ってみたくって」
その言葉の意味を掴み損ねて、サンジは首をひねる。
「あとどんな武器が隠されてんのかな、目からビーム出せるのかな、とか。気になるよな」
あれれ、とサンジは思う。何か話が、違ってないか?
「あのドリルも最近追加されたんだよな。おれ、見てたんだ」
彼がドリルのようだという、アレというそれも。
「チュイイイン!って、こう、回転するんだよ、指が。ありゃ多分、CP9の指銃に影響されたんだと思うんだけど」
ああ大いなる勘違い。サンジは頭を抱えた。
ウソップの語る声に、なんだかやけに楽しそうな色が含まれていることもサンジを憂鬱にさせた。
「ちなみにな、サンジ。おれの好きな人と、おれの気になる人って別の人だよ」
「…どういう意味だ」
「そんなことより、誰って聞いてほしかったなあ、サンジくんに」
その楽しそうな視線と楽しそうな語り口調で、何となくわかってしまったけれど。
「…誰」
「サンジ」
無邪気に微笑んだ顔が年齢にそぐうやんちゃな笑顔だったから。
ああクソ騙された、と思いながらも、サンジはその唇に乱暴に口付けた。
ふぁーすときす、とウソップが呟いたのが聞こえた。
その声も楽しそうだったけれど、ちょっとだけ、嬉しそうな響きに聞こえたのはきっと、サンジの気のせいではないだろう。
 
ナニがドリルなフランキーのネタが読みたい病(ぉ

びっくりするくらい甘くなった。なんだこれ。
アニメの海列車のサンジ合流辺りが、非常にアレだったので。
やめてーおれのために争わないでーだった。リアルに。
そして、衝撃の「おれの ウチの長ッ鼻」発言は平田ヴォイスによって凶器と化した。
 
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