「サンジ、魚釣った!これは何だ?」
「あー…そりゃウェストブルーでよく取れるって言う…」
釣り人の理由
今日もウソップは、釣り上げた魚をいちいちサンジに確認しに来た。
彼自身の作成した「アーティスティック」な釣竿を肩に担ぎ、魚を片手にぶら下げて。
食用でないなら海に帰してやりたいから、という理由がいかにも彼らしくていい、とサンジは思う。
今日のそれは全身綺麗なレモンイエローで、ぱっと見には食用とは思えないものだ。
しかしサンジは、その魚についての知識がある。
「香草と一緒に包んで蒸すと美味いって言うぜ」
「おお、美味そう!サンジは食ったことあんのか?」
「いや、まだねェな」
「じゃあ是非、今晩のおかずにしてくれ!」
「一匹だけかよ」
「…もっと釣ってくるからな!」
ばーい、と手を振って、また釣竿を肩に担いでウソップがキッチンから駆け出していく。
窓から覗き見れば、船べりに飛び乗って釣竿を振りかぶった姿が見えた。
振り下ろす。
細いエナメルの糸が大きく綺麗な弧を描いて、青い海に飛び込んでいく。
あとは、根気が勝負だ。どうやらウソップは鼻歌を歌いながらその時を待つらしい。
ブーツのかかとで船を叩いているのだろう、そんな感じで、背中が揺れていた。
ご機嫌のようだった。
そんなに香草蒸しが嬉しいのだろうか。
だったら、奴が釣った中から一番でかいのを、今日は船長じゃなくてあいつにやろうか。
そんなことを、サンジも少し機嫌良く考えた。

だからサンジは知らない。
(ウェストブルーの魚、だってさ!)
思わず鼻歌さえ漏れてしまう、ウソップの機嫌の理由を。
(だって、もうここはイーストじゃねェんだ!)
それは故郷を遠く離れたというのと、もう一つの理由をウソップに与えている。
(グランドライン、全部の海が混ざる所)
その、目的地の一つを。
(もし、次に釣った魚がノースでもサウスでも、ウェストじゃないならば)
それは、ある人物の野望と言ってもいいほどの目的地に近づいているという合図。
だから、ウソップは釣竿を海に向かって振り続ける。
できるなら、大事な仲間の夢をかなえる手伝いを、したいと思うので。

「おっ!」
強い引きにウソップは顔をほころばせて、船べりに立ち上がり、大きく竿を振り上げた。
「サンジ、サンジ、今度は別のが釣れたぜ!」
「おー、良くやったな!今度のそれは…」

残念ながらまたウェストの魚だったけれど。
そんなに簡単に夢は叶っちゃいけないと思うので、またウソップは釣竿を振り上げる。
何度でも。
いつだって、もうこの海。
夢の切れ端を掴まえるために。
 
目標は、オールブルー。

オールブルーってどんなところなんだろう?
ルフィの目的地はとりあえずラフテルに決まったし、ゾロの目標も鷹の目を倒すことって決まってる。
明確にまだどこってわかってないから、みんなで魚釣ったり調査しながら進んでけばいいのかなあ、とか思いました。
…夢がない?
 
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