恥も外聞もなく「おれたちがピンチの際は是非助けてください」と頭を下げた男を見て、料理人は言った。
「バーカ、おれはレディしか助けねェんだ」
約束しろよ!と叫ぶ姿から目を逸らし、タバコの煙を美味そうに吐いた。
アラバスタ諸事情
しかし今、ドォンと言う音と共に立ち上った土煙。
「サンジッ、あっちの方角…!」
「わかってるっ…!」
南ブロックの方角だ。
あいつが敵をひきつけているはずの方角。
だが、思考を遮るかのように目の前へと現れたのはボール型の爆弾。
「クソッ…!」
伏せるように前方へ跳ぶ。元いた位置の辺りで、爆発が起きた。
「…だが、この状況じゃあどうしようもねェだろう!」
チョッパーの声に叫び返しながら、しかし脳内には潔く頭を下げて見せたその姿が浮かぶ。
(何考えてんだ、おれは!おれはレディしか助けねェって言ってんだろ!)
頭を振って、その思いを吹き飛ばす。
集中だ、集中。戦いに集中しないと。
一瞬の油断は即、敗北に直結だ。
しかしそのとき。
「クエーッ!」
「クエエーッ!!」
振り向けば、その声の源は二匹のカルガモ。
しかしそれは、自分とチョッパーが乗せてもらっていたやつらではない。
「な、何だって!?」
動物の声を理解できるトナカイの船医が、急に声を上げた。
「チョッパー!あいつらなんて言ってる!?」
「ど、どうしよう!ウソップとマツゲが…!」
その先は言わなくても分かった。カルガモたちは二羽とも、体中傷だらけである。
「…ああ、クソッ」
自分めがけて飛んできた爆弾に、足元のガレキを蹴りぶつけて爆発させる。
爆発音、閃光と土煙が辺りを支配した。
「ぷぇーぺっぺ!何するんだい!!」
もぐらへと変身したバロックワークスの幹部のムセる声が聞こえる。
「…チョッパー!悪ィが、少しの間一人で何とかできるか!?」
「え、何で?」
「おれはあいつらの様子見てくる。場合によっちゃ、ビビちゃんがヤベェかもしれねェ」
一人別行動を取っているはずの麗しき姫君を思い出す。
そう、あいつが敵を通してしまえば、その分ビビが危険にさらされるのだ。
だから、自分はあいつが心配だったのだ。
そう自分の中に結論付ける。
「わ、わかった!」
「あいつが無事だったら、こっち来るよう伝えておくよ」
閃光と土煙で、こちらの姿は隠れて見えないだろう。この隙だ。
麗しの姫君と、そして仲間を護る為、料理人は地を蹴り走り出した。
 
アラバスタ編のあの辺を捏造。

地味に『大切なゴーグル』取り返してくれたり、料理人優しすぎる。
最初「うちの狙撃手の大事なゴーグル」を「うちの大事な狙撃手のゴーグル」と読み違えて「!?」となったのもいい思い出。
っていうか、狙撃手ピンチのときの料理人の登場確率は一体何なんだ。
 
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