「『シンタローを止めきれる奴が俺以外に居るのか』だほうじゃけぇ、」
「良くアラシヤマ、あン時に自己主張しなかったっぺな」
想いが重い(一方的)
誰も居なくなった砂浜で、草むらに未だ隠れながら、ミヤギとコージがアラシヤマに呟く。
先ほどのキンタローの台詞。
いつものアラシヤマなら、飛び出すかと誰もが思った。
それは、彼が強いからとかそういう意味ではなく、シンタローに関する件で飛び出して主張する、という彼の行動への期待だ。
「『わてがシンタローはんのために頑張るどすえ〜♥』とか?」
「あ、今すごい似てたっぺ、コージ」
「うわー、まったく嬉しくないけんのう」
「『わての元へ帰ってきておくれやすぅ、シンタローはん♥』とか言いそうだっぺ」
「ほれは4年前にもうやっとるけぇ!」
「ああ、どっかで聞いたことあると思ったら!」
はしゃぐ二人をちらりと見て、アラシヤマはふぅ、と息をついた。
「楽しそうどすなァ、お二方」
「アラシヤマは相変わらず暗いっちゃね」
「…わてが、シンタローはんと戦えるはずないやろ」
「そりゃあシンタローのが強いっちゃからね」
「お黙りやす、忍者はん」
トットリのツッコミを無視して、アラシヤマは遠い背中を見る。
「…だって、わてにあん人を攻撃できるわけが、あらへん」
「んー?」
「あん人に傷つけるか死ぬか選べって言われたら、わては、迷わずに死にますえ」
あん人に殺されるなら喜んで死にますわ、とアラシヤマは言う。
自分の命すら捨てられるほど、アラシヤマにとってその存在は大きいのか、とミヤギとコージは思った。
トットリは、素直に気持ち悪ッと思った。
呟きが聞こえたのか、次の瞬間アラシヤマは、眼魔砲でぶっとばされていた。
それすらも嬉しそうなのだから、多分もう手には負えない。
もしもシンタローか自身の死かを選べって言われたら自分はどうするかな、とトットリは少し考えて、その時はまあ、ミヤギくんに聞けばいいや、という結論に達して、その考えに満足した。
無駄に楽しそうなミヤギとコージが書きたかった。
素直なトットリが書きたかった。
気持ちの悪いアラシヤマが書きたかった。
シリアスに見せかけてシリアスではないとみせかけて、実はシリアスかもしれない。どっちだ。
…生まれて初めて文章に「♥」記号使いました。
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