ロボットの開発をしよう、ということになった。
僕は、何か任せてもらえると言うことが嬉しくて、たくさんの絵を描いた。
こんなロボットが作りたいな、と考えながら描いた。
2Bの鉛筆がすぐなくなってしまうくらい、一生懸命に描いた。
でも時々飽きてしまって、端っこには猫の絵を描いた。
残念ながら貴方は気付きませんでした。
「ほう、これは格好いいですねェ」
「でしょ、高松!?それ僕の一番の自信作!」
高松が取り上げたのは、僕が最後の方に描いた一枚だった。
最初のほうに描いた何枚かと比べればデザインも洗練されているし、機能も現実的だ。
余りにも自信作だったので、クレヨンで色を塗ったオマケ付きだ。
「動力などは?」
「うん、一応考えてるよ。こっちの紙なんだけどね…」
途中から、飽きたときに落書き用紙にしてしまった紙を差し出す。
その左上のほうに、たくさんの計算やプログラムの案なんかが書いてあるのだ。
「ふむ、素晴らしいですね。ですが、例えばここのプログラムですが…」
「あ、やっぱりそこ気になる?」
「ええ。ここで無理矢理にループさせなくても…」
「あ、じゃあこんなのはどうかな…」
こうやって他の誰かと考えをぶつけ合うのはとても面白い。
問題は、こういう話が出来る相手が高松くらいしかいないってことだけど。
シンちゃんは機械とかにあんまり興味がないし、マジックおじさまやサービスおじさまは忙しそう。
ティラミスとチョコレートロマンスは話を聞いてくれるけど、理解はしてくれない。
士官学校の皆とか、もしかしたら話が合う人がいるかもしれないけど、あんまり話をすることは無い。
僕が、ガンマ団総帥であるマジックおじさまの親戚であることが理由の一つっぽいけれど、シンちゃんには友達がいっぱいいるからずるい、と思う。
だから、こうやって高松と話している時間が、一番楽しい。
「…うん、これだったら出来そうだね!」
紙は、いつの間にか高松の赤ペンと僕の青ペンでめちゃくちゃになっていた。
多分、ちゃんと読めるのは僕と高松の二人だけだと思う。
「ねーねー高松ぅ、すぐに作ろーッ!」
僕は今頭の中に出来たプログラムを、いますぐ試してみたい欲求に駆られていた。
あのプログラムを作って、それから材料を仕入れてきて、あのイラスト通りの格好いいロボットを作るのだ。
「はいはい、わかりましたグンマ様」
袖を掴んで引っ張ると、鼻血を出しそうな笑顔で高松が微笑んだ。
袖を掴んでひっぱったまま、部屋を出るとき、そういえば、と思い出した。
「ねえ、高松」
「何でしょうか?」
「さっきの紙にさ、何が描いてあったか覚えてる?」
「さっきの紙?ああ、ロボットですか?」
「ううん、違うよ。あの、プログラムとかいっぱい書いた紙!」
僕の青ペンと高松の赤ペンで一杯になってしまった紙。
「ええと…最初に書いてあった仕組みやプログラムのことですか?」
「…んー…、まあ、いいか」
ちょっと残念な気分になって、僕は呟いた。
「グンマ様?」
「ううん、なんでもないの。さ、行こ!早くロボット作ろうよぉ!」
僕は、高松の袖をひっぱって笑顔を作った。

多分、プログラムなんか書いた紙に落書きをしたのは、見て欲しかったからだと思う。と僕は僕を分析した。
ロボットとかプログラムとか、そういった冷たいものばっかりじゃなくて、僕だって、あったかいものを書きたかったんだって。
でも高松は気付いてくれなかったから、僕は一生、冷たいものなんだろうなあ、と思った。

きっと、あの紙に描かれたかわいそうな猫は、青と赤に塗れて消えてしまっただろう。
誰にも気付かれずに消えてしまうってどんな気持ちだろう、と思ったけど、
僕には高松がいるので、良く分からなかった。
 

蜘蛛の糸@筋少っぽいのを書きたかったんですが…無念orz
グンちゃんは生来明るくて人好きないい子なんだけど、何か、足りなくていつも失敗しているイメージ。

あんまり時間軸とかは考えてなかったんですが、多分格闘技戦でシンちゃんに壊されるロボット。

 
戻る