人喰い
「お前はホムンクルスだから人を喰うんだな」
創造主は時々、唐突なことを言い出す。
熱の高い時や薬が効いているときは特に。
今も多分、熱があるんだろう。
いつも青白い頬が赤く火照っているし、息も少し荒い。
「人は美味いか?」
「わかりません」
「なら何故喰う?」
「腹が減るからです」
創造主はあははは!と笑った。
私はそんなに面白い事を言ったのだろうか?
とにかく早く熱を下げないと、と熱さましの薬を開ける。


「鷲尾、お前も人食いだな」
「・・・」
「人食いなんだ、お前は」
「・・・」
「俺も食うか?・・・どうせまずいだろうが」
驚いて顔を上げると、創造主は笑っていた。
「お前は人喰いだ。捕食者だ。腹が減るんだろう?
 俺は人間だ。捕食される側だ。喰わなくていいのか?」
服の襟を引き下げ、殊更に白い首元を晒す。
「喰うか?俺を」
近づいてくる首筋から目を離せなくなる。
その白い首を噛み切れば、温かい血が吹き出すのだろう。
いつも彼が口から吐くのよりも、激しく温かい血が。
逆光で、創造主の表情が読めない。
「・・・」
だが、ふっと、創造主が笑いの質を変えたのがわかった。


「嘘だよ」
掠めるようなキス。
血の味を私に残し、一瞬で離れてしまった。
「お前は、俺を食わない」
唇がまだ熱い気がするのは多分、創造主の熱が高かったからだろう。
それが私に触れたから、熱が移ってしまっただけ。
「さ、薬を飲みましょう」
私は冷静を装って、熱さましを創造主の掌に数粒置いた。
少し迷ってからグラスに満たした水も渡した。
最後まで、口移ししてもいいものか悩んだけれど。
 

人を喰う化け物、と、人を食った発言の人。
鷲尾とか花房は食えといわれても食わないだろうけど、
蛙井とかは、隙あらば創造主を食って
自由になろうと思ったりしたんじゃないかしら、とか妄想。

攻爵は色々遊びとか戯れのついででも、
鷲尾は本気でにゅんにゅん悩んでたりすると素敵。
にゅんにゅんって何だ。

読んでくださってありがとうございました!

 
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