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"この世界"では、双子と言うものは多くの場合"特別視"される。

それは、世界創世神話の中で争った水と炎の双子神が元々なのかもしれないし、または世界大戦で両陣営に別れ大暴れした双子鳥神のせいなのかもしれないし、まあどっちにしても神様ってすごいなー、という話であるようなので、俺自身にはあんまり興味のない話だ。

周りを見渡したってそう双子なんていないし、隣の国じゃあ王だか王子だかが双子だそうだけど、この国の姫は一人だけだ。

俺自身は双子だが、兄は小さい頃に病気で死んでしまっていないし、一人しか生きていない双子なんて―片方時の止まってしまった双子なんて―、もう双翼でも何でもない、と、俺は思うわけだ。

12年前の今日の日、ヒトは息を引き取った。

その時に決定的に俺たちは別々になってしまった。たった7歳で時の止まってしまった少年。その火はまだ彼の墓の中で燃えているが、それは彼自身の生きる意志ではなく、残されたものの未練に因るものである。

…と、まあそんなことを言っても、俺とヒトが双子であったことに代わりはないし、今日この日が、二人のこの世に生まれ出た記念すべき日でもあるということも変わらない。

幸いなことに今日は晴れ。

俺はヒトの墓の前で手をあわせ、誕生日おめでとう俺とヒト、と呟いて、そして今日も一日頑張ろうと自分に言い聞かせた。

 

リザ編 1

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